死体があるかも知れない部屋・1

死体があるかも知れない部屋・1

昔々、不動産会社の賃貸部門に勤めていたときのことです。

お昼の休憩を終えて席に戻ったとたん、会社に一本の電話がかかってきました。

「うぢの娘のごどなんだけども」

声の主は年配の男性です。しかし、訛りがひどくて話の内容がよくわかりません。

どうやら東北の、それもかなり田舎の方からかけているようです。

「ここ何日も、ずっど連絡がとれないんだげども」

時間をかけて、落ち着いてよくよく話を訊いてみると……。

都会に出て一人暮らしをしている娘と一週間も連絡が取れない。

娘が勤めている会社の方にも電話をしてみたのだけれど、無断欠勤が続いているらしい。

娘が住んでいるワンルームマンションの契約書を確認してみたところ、どうやらお宅の会社で仲介してもらったもの。

もし、そちらの管理物件であるならば、一度様子を見てきてくれないか。

……そういった内容でした。

私は「行方不明の娘さん」のお父さんらしき男性から連絡先を聞いてメモを取ると、いったん電話を切りました。

正直、「あぁ面倒なことになってしまった」と思いました。

会社のほうにも行っておらず、自宅の電話もずっとつながらないとすれば……。

何か事件に巻き込まれた可能性が非常に高いわけです。

当時はちょうど、一人暮らしの女性を狙った犯罪が世間を騒がせていました。

部屋を確認してくるのは簡単なことなのですが、もしかすると、こちらから警察に連絡しなければならないかもしれません。

同じ一人暮らしの若い女性として、とても他人事とは思えず、顔色を悪くしながら上司に報告したところ、

「○○ハイツ?うちの管理物件だから合鍵あるよ。ちょっと車で走って様子見てきてよ」

ものすごーく軽いノリの返事が返ってきました。

「えっと、あの、私一人、でですか?」

まさかと思いつつ念を押すと、

「だって、みんな出払ってて君しかいないだろ。これから本社の部長が来るから自分は席外せないし」

「そ、そんなぁ~」

ますます困ったことになりました。死体があるかもしれない部屋に私一人で行け、と言うのです。

「まずはピンポンしてみて。返事がなかったら鍵開けて。もし事件っぽかったら、部屋の中には入らないですぐこっちに連絡して」

……その「事件っぽいこと」にはなるべく巻き込まれたくないんですけど……。

保健師

夏のしのぎ方

ここ数日、夜中でも気温が27度も下回ることがないという熱帯夜が連日続いています。熱帯夜になると、我が家の子供たちは本当にかわいそうです。とにかく蒸し暑くて眠れないと言います。シャワーを浴びたばかりなのに、すぐさままた新しいべたべたした汗をかいてしまい、とても気持ち悪いというのです。もう7月も中旬になりましたので、我が家もそろそろエアコンを入れる時期が来たかなと思いました。夜中、西と東の窓を開け放つと、とても良い風が通ることが多いので、夜中は窓を開けて寝ていることが多かったわが家です。暑くても、明け方くらいには風が冷たくなり、かえって寝冷えをしてしまうほど涼しい風が入り込んでくることもあります。

私たちはこれぐらいで充分満足なのですが、仕事帰りに駅から10分以上徒歩で歩いて帰宅してくる主人にとっては、家に帰ってきてエアコンが効いていないというのが苦痛でストレスでたまらないというのです。

私も、彼の言い分はとても理解できるので、夜眠るときは子供たちも涼しく快適にしてあげられるし、主人も気持ちよく帰宅できるという一石二鳥ということで、夜はエアコン入れるようにしています。

すると、子供たちはスヤスヤと気持ちよさそうに寝息をたてて眠ることができます。私も、エアコンを入れると、今まで暑苦しいのを我慢していたのがバカバカしくなってしまうほど気分が良いですし、本当にエアコンを入れて良かったと思うのです。

東日本大震災かを起こり、原発の問題が出てから、世間では節電と叫ばれています。もっともな話なのですが、自分を守るため、快適な生活を送るため、文化的な生活を送るためには、エアコンを必要な場面で使うことが決して悪いことではないと思います。

よくお年寄りなど節電のためなのか、エアコンを使わず自宅にいながらにして熱中症にかかりそのままなくなってしまうというケースも耳にします。こうしたことがちょっとした意識を変えるだけで予防できると思います。

近年の日本の気候は、昔のような仕事がずいぶん変わってきていると思います。昔は気温は高くても三十度位が常識だったようです。三十度になると暑くて死にそうと言っていたといいます。ですからエアコンを使っていなくても何とか乗り切れた時代だったのです。しかし現代は違います。35度にまで達する日がしょっちゅう出てきていますし、地面がコンクリートというだけで照り返しが強く、気温も跳ね上がるのです。こうした環境にしてしまった私たち人間の責任なのですが、適応するためには文明の利器をうまく使って自分の生命を守らなくてはならないと思います。

私たち世代は、比較的臨機応変に対応し頭を柔軟にしてなんでも適応できますが、お年寄りなどは頑固で自分の考えを曲げないといった方が多いのでそういう人たちは本当に気をつけてほしいと思うのです。